5月1日(晴れ) *repo* arai
GW突入。桂川もまさにGW。パート2
「今日の天気は晴れ、最高気温30度近くになるでしょう。」 そんな天気予報をラジオで聞きながら、
車を桂川に向けます。今期9回目の桂詣でです。
まずは初めてのポイントに入ることにします。前回Kiyoさんから、「あそこはやめたほうがいいですよ。
出るんですよ〜(怖)。」と言われていたのですが、そう言われると行ってみたくなってしまいます。
車をとめると早くもヤバそうな雰囲気です。やっぱりこのまま別の場所に行こうかな。(最初から弱気です。)
でも取り合えずと、川の流れを覗いて見ると、なんと素晴らしい流れではないですか!周囲の雰囲気も、
桂川らしからぬ感じです。桂川にもこんな流れがあったんですね。
ということで、ヤバそうな気配は心の片隅に追いやり、早速ロッドを持って川に下りてみます。
今日は、川でのドライフライの釣りではめったに使わない5番・8フィートを持ち出しました。
そのわけは、2日前に体験したある出来事にありました。
見渡しところライズは見当たらないので、瀬の中を釣り上がっていくことにします。
前夜ハッチしたらしいヒゲナガがパタパタと飛んでいます。どでかいフライを超ロングリーダーに結んで、
慣れないシステムに多少てこずりながらも釣り上がっていくと、まもなくおいしそうなポイントです。
慎重にストーキングして、しかもかなり遠くからロングキャストで狙います。フライはいい所に落ち、
いい感じでフワフワと流れていきます。
出たあ〜!!フッキングと同時に走ります。と思うとローリング。「大丈夫、今日は取れる。」自分に言い聞かせます。
寄せに入りました。ギランッ。素晴らしい魚体です。「尺あるかな?いや、少し足りないかな?
こいつの写真と一緒にどんな文章を添えようか?」なんて頭の中では、早くもこのレポのことがよぎります。
そして、ふと、そんな思いを遮るようによぎったのは、2日前の忘れもしないあの光景です。
ヤバい。そして次の瞬間です。すっと、ロッドに伝わるテンションが失われたのは――。
またやってしまいました。今日は最後の瞬間にフックが外れてしまいました。へなへなとその場に座り込みます。
そう、2日前と同じように。
その後、上流のプールまで同じように釣り上がりますが、結局、二度と出ることもなく終わってしまいました。
気を取り直したつもりでも、微妙にどこかに引きずっていたせいかもしれません。
仕切り直しをしようと、思い切って移動です。
このピーカンの天気で、この時間帯では、どこもあまり期待は出そうもありません。
ならば、今まで行ったことのないポイントを廻ってみようと。まず一つ目はすぐにたどり着くことができました。
水量がいまひとつです。すぐに撤退することにして、二つ目へ。橋の上から様子をうかがうといい感じです。
ライズはありませんが瀬を叩いてみることにします。そして小一時間、反応ありません。さらに移動です。
暑くてかなりバテています。今度は支流です。ここも良い感じです。しばらく様子を見て回りますが、
拾い釣りをしていくにはロスが大きそうです。しかもそろそろイブの時間です。
(この時点で、今日は一度もライズを見ていません。)えーい、思い切ってまたもや移動です。
結局もどってきたのは、午前中に入った、例のヤバそうなポイントでした。
きっと出るはず、そう信じてひたすら待つことにします。でも何の確証もありません。
あるのは、渓相の良さを見ての直感と、午前中のあの1匹の強烈な手ごたえの余韻のみです。
6時10分、エルモンが飛び始めました。ハヤひとつライズしません。(ちょいヤバイ?)
6時30分、ヒゲナガです。まだ沈黙です。(かなりヤバイ?)
6時50分、顔にヒゲナガが当たってくるほどです。ここには、やっぱり魚いなかいのかなあ。(本当にヤバイ?)
7時00分、「フライが見えなくなったら潔く上がる」という、かねてからの信条が、ついに決断を促します。(帰ろう。)
と、歩き始めた時です。ゴボッツ!ん?しばらく耳と目に全神経を集中します。
ゴボッツ!間違えありません。流れ込みの頭です。すぐにフライを打ち込みます。が、見えません。
ゴボッツ!もう何度も流している(はず)なのに、ゴボッツ!一向に反応ありません。
ゴボッツ!暗闇の中、思い切ってフライを、(ゴボッツ!)リアルなアダルトパターンに交換です。
ガツーン!!乗ったあー!今度は絶対にばらさないぞ!
――ようやく取ることができました。メジャーを当てると29cm。上出来です。
写真を何枚も撮ります。(暗闇の中、何度も続くフラッシュの閃光、もしも人が見ていたら不気味だったでしょうね。
で、そのフラッシュのせいでこんな写真になってしまいました)
よーし、魚体をいたわりながらリリースし、立ち上がると、ふと背中に気配が …。ん?振り向いても、誰もいません。
とたんに、真っ暗闇の中、今ここには自分ひとりしかいないという事実が、襲い掛かってきました。
ゴボッツ!別の場所でもライズが!――でも、その時点で私の目は、帰るべき踏み跡を探していたのは言うまでもありません。
急ぎ足で車へともどる私の背中に、Kiyoさんの声が…。
「あそこはやめたほうがいいですよ。出るんですよ〜(怖)。」