6月11日 *repo* arai
「雪代の収まる頃」
雪代の収まる頃――、山岳渓流での岩魚釣りに憑かれたFFMなら誰でも、毎年、その時期が気になって
しかたがないのではないだろうか?そのタイミングにうまく釣行時期が重なると、時に、至福のときを味わえるからである。
事前情報によれば、まだ早いかなと思われたが、今回はあえて決行することにした。Maruiさん、Shachouさん達の、
刺激的な東北釣行のレポが引きがねになったことはいうまでもない。(笑 )
だが、とても東北までは行けない。そこで今回は、横浜からでも日帰りが可能な、ある渓流を目ざした。
現地の情報では、水源に豪雪地帯をひかえるこの川は、6月を迎えてもまだ、雪代が川幅いっぱいに流れ、
先週あたりでも渡渉ができないほどであったと言う。
10:00 退渓地点に車を置いて、車道を約30分下ってから川に降り立つ。たしかに水量は多い。
だが、遡行ができないほどではない。しかも水の色はいい感じだ。
今回のパートナー、Taka−Qさんと二人で交互に釣り上がって行く。
だが、いっこうに反応がない。やはりフライングだったかな?そんな思いがよぎりつつしばらく続けていくと、
その理由が判明した。またも、先行者のお尻を追いかけてしまったのだ。
(人気の高いこの川ではよくあることなのだが、それに気づかないまま一日を終えてしまうこともあるので、注意したい。)
11:30 いったん川から上がることにする。だが谷が深く、入退渓が容易ではないこの川では、
再び入渓地点まで下らなければならない。
――その途中である。Taka−Qさんにアクシデントが起きたのは。(水量の増えたこの流れで、
大事には至らなかったのがせめてもの幸いでした。)
13:00 ようやく川に戻った我々は、まずは気分一新と ……、「乾杯」。
14:00 あちこちにメイフライやカワゲラが飛び始めた。どんよりと小雨交じりの天気はそのままだが、
にわかに空気そのものが活気づいてきたかのようだ。
さあ、釣りを再開しますか。
再開してまもなく、私に待望のヒット。雪代で磨かれた27cmの魚体には、美しいオレンジの斑点が散りばめられていた。
代わって先行したTaka−Qさんも、たちまちヒット。なんと派手にライズしていたという。
しかもライズはまだ続いている。決して広くはないその同じポイントで、2匹。いや 3匹、4匹――。
どうなってしまったというのか!完全にスイッチが入ったようである。
のんびり魚の撮影会などしている場合じゃない。ということで、そこから先は、二人距離を置き、
それぞれのペースでがんがん釣っていくことにする。
ここぞというポイントでは、ほとんどと言ってよいほど反応がある。岩魚たちはいつもの棲家から出てきて、
流れの中の捕食ステージにそのポジションを取っていた。
途中何度か交代しながらもお互い夢中で釣りを続け、2時間後に合流したときは、二人あわせて 14匹を数えた。
17:00 たまにはいいよね、こんな大釣りができる日があっても(笑 )。ということで、バチが当たらないうちに納竿する。
(ただ、退渓地点までのラストの区間では再び反応がなかったのは、釣り下りでそこを歩いた先行(?)者があったためだろう。)
着替えを終え、近くの茶店で食べた名物の山菜うどんが、おいしかった。
イブは下流のポイントでやろう、その日の朝、そんな話をしていたことは、二人ともとうに忘れていたのである。(了 )